アスベスト事情最新ニュース
佐賀市 県営住宅から石綿 国基準超過 38室で入居者107人
佐賀県は1日、国の基準の厳格化に伴うアスベスト(石綿)の再調査で、県営住宅鍋島団地(佐賀市開成1丁目)の3棟の室内から、国の基準を超えるアスベストを検出したと発表した。3棟には38室があり、うち34室に107人が入居しているが、今のところ健康被害は確認されていないという。
県によると、調査は9月上旬に3棟の各1室で実施した。それによると、いずれも居間や和室の天井からアスベストの一種「クリソタイル」の成分を検出。含有率は0.2-2%とみられ、国基準の重量比0.1%を超えていた。部屋の仕様はすべて同じのため、県は全室で基準を超過しているとみている。
県が3棟で空室を1室ずつ調査した結果、空気中への飛散は確認されなかった。県は入居者がいる部屋も含め、1日から全室で緊急調査を実施し、天井をシートで覆う応急措置をする。県が10月31日夜に行った住民説明会では、転居を希望する声も上がっており、県は無料健康診断や転居先をあっせんするかどうか早急に検討する。
3棟は1978、79年に建設。同団地には計33棟あるが、残り30棟のうち27棟に異常はなかった。残る3棟は採取したデータを分析している。
=2008/11/01付 西日本新聞夕刊=
石綿被害、くまなく救済
石綿被害すき間なく救済、改正法が12月1日施行
アスベスト(石綿)で健康被害を受けた人を救済する改正石綿健康被害救済法が12月1日に施行される。
従来の救済法は公明党が強力に推進し、2006年3月27日に施行。石綿を吸入したことが原因で特定疾患(中皮腫や肺がんなど)にかかりながら、労災の対象にならない患者やその遺族に対して、医療費や弔慰金などを支給することが柱となっていた。
しかし、同法の施行後に死亡した人については、本人が生前に被害者として認定を受けていなければ、遺族が弔慰金を受けられないなど、改善を求める声が多く寄せられていた。そこで改正法では、医・治療費の支給期間を従来の「認定申請日」から、「療養を開始した日」に拡大。また、医療費などの合計額が特別遺族弔慰金の額(同弔慰金と特別葬祭料で計約300万円)に満たない場合は、遺族に対して差額を救済給付調整金として支払うとしている。
これは公明党の強い主張で実現したもので、党アスベスト対策本部の江田康幸副本部長(衆院議員)によると、「支給対象期間を拡大しても、今後、給付金が300万円を下回る人もいる。公明党は公平性を保つために、調整金を主張した」という。また、制度発足後に未申請で死亡した人に対しても、請求可能期間を死後5年とし、特別遺族弔慰金などを支払い、制度発足前に死亡した人の遺族に対する弔慰金の請求期間も、2009年3月27日から2012年3月27日まで延長。さらに同法施行(2006年3月27日)の前日までに死亡した労働者の遺族のうち、労災保険法で遺族が補償を受けられる権利が5年間の時効で消滅した場合も、特別遺族給付金を支給(請求期限は2012年3月27日)することとした。
同時に改正法には、国は石綿を使用していた事業者の調査や結果の公表、新制度の周知徹底を図ることも盛り込まれている。 今回の法改正をめぐっては、与党と民主党がそれぞれ改正案を提出していた。しかし公明党は、深刻な石綿被害の救済を求める切実な声に対し、迅速な対応が求められていると主張。与野党の調整役として改正案の一本化に向けて尽力し、今年(2008年)6月11日の参院本会議で全会一致で可決・成立した。
江田氏は「従来は申請期間などで、いくつかの“すき間”があった。与野党の合意で、すき間のない救済が実現できることは意義深い」と述べる一方、3年後の見直しに向け、今後は指定疾病の拡大へ努力したいとしている。
(公明新聞:2008年11月25日より)
厚生労働省 石綿ばく露作業による労災認定等事業所一覧表公開
平成19年度石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表の公表について
今般、平成19年度に労災認定を受けた労働者が所属していた事業場及び特別遺族給付金の支給決定の対象となった労働者が所属していた事業場の名称等の情報をとりまとめたので、別添のとおり公表する。
公表の趣旨は、これまで行ってきた過去4回(平成17年7月、8月、平成20年3月、6月)と同様、
- 公表事業場でこれまで業務に従事したことがある方に対して、石綿ばく露作業に従事した可能性があることを注意喚起する
- 周辺住民の不安等の社会的関心が高まる中で「周辺住民」となるか否かの確認に役立ててもらう
- 関係省庁及び地方公共団体等における石綿被害対策の取組に役立ててもらう
ということである。
労災認定等事業場一覧表の概要は、以下のとおりである。
なお、本件公表事業場一覧表については、厚生労働省ホームページに掲載予定である。(http://www.mhlw.go.jp/)
1 公表事業場数883事業場
建設業以外の事業場の一覧表(第1表)432事業場建設業の事業場の一覧表(第2表)451事業場
(参考)平成19年度労災認定等事業場951事業場
うち公表事業場数883事業場うち事業場不明21事業場
うち特別加入者(一人親方)47人
公表事業場以外の労災認定等事業場について
(1)労災認定等事業場に「事業場不明」のものが、21事業場計上されているが、これは次の理由から事業場が特定できなかったためで、その多くは建設業に分類される。
ア:遺族の方から請求された事案で、最終ばく露事業場の情報が特定できなかったもの
イ:事業場が廃止された後、長期間経過後に発症したため、最終石綿ばく露事業場が特定できなかったもの
ウ:複数の建設現場や事業場を転々としていたため、従事歴のある事業場の名称等を被災労働者が記憶していないなどにより最終石綿ばく露事業場の特定が困難であったもの
(2)労災認定等事業場の「特別加入者(一人親方)」とは、大工、左官など主に建設業に従事する労働者を使用しない自営業者であって、労災保険に特別に任意加入することが認められている方である。
2 相談窓口の活用等
今回の公表された情報に関する各種問い合わせや労災保険等に関する相談については、都道府県労働局、労働基準監督署の相談窓口(PDF:383KB)で受け付ける。
また、石綿に係る健康相談については、保健所、労災病院、産業保健推進センター等の相談窓口(PDF:383KB)で受け付けている。
なお、厚生労働省では、平成20年11月1日(土)から3日(月)の午前10時から午後5時まで、休日電話照会窓口(PDF:409KB)の設置を行う。
厚生労働省では「過去に在籍していた事業場で石綿作業に従事していた方」及び「現在在籍している事業場で石綿を取り扱う作業等に従事していた、又は従事している方」に対して、健康診断の受診勧奨及び健康管理手帳制度、労災補償及び特別遺族給付金制度の周知を図るための情報を厚生労働省ホームページ上で公表しているところである。
3 その他
「石綿による肺がん、中皮腫の遺族補償給付に係る労働者の性別・疾病別・死亡年別一覧(平成17年度~19年度認定分)」を参考に添付する。
不法投棄:アスベスト含む廃材・・・疑いで解体業者逮捕 群馬
アスベスト(石綿)を含む建築廃材約3700キロを不法投棄したとして、群馬県警生活環境課などは29日、同県安中市下後閑(しもごかん)、解体業「リアル解体」社長、田中良禾(りょうか)容疑者(69)を廃棄物処理法違反容疑で逮捕した。
調べでは、田中容疑者は今年4月ごろ、アスベストを含む建築廃材約3700キロをごみ袋約200袋に詰め、自宅近くにある自身が管理している休耕中の畑に埋めた疑い。
県が大気測定したところ、アスベストの飛散は確認されなかった。
毎日新聞 2008年9月29日
アスベスト、病院など223施設で飛散の恐れ
全国の病院や社会福祉施設など厚生労働省所管の223施設で、発がん性のあるアスベスト(石綿)が飛散する可能性があることが9月11日、同省の調査でわかった。同省は、そのうち一般利用者が吸引するおそれがある施設を精査し、今後名称を公表する方針だ。
病院では吹き付け石綿を使用していたのは1335施設。うち109施設では、封じ込めなどの対策が不十分で、飛散の恐れがあった。
社会福祉施設では、吹き付け石綿を使用していたのは4558施設。うち112施設で飛散の恐れがあった。厚労省は、危険性の高い施設には早急に除去を行うよう、都道府県などに対して指導を要請したという。
掲載元:朝日新聞 2008年9月12日
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