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中皮腫発症 労災申請 40年前作業

2008-12-15 (月)

中皮腫発症、労災を申請 40年前に石綿作業 

四十年前、神戸市内の鉄道車両製造工場でアルバイトとして約二週間、アスベスト(石綿)の吹き付け作業をした男性(61)=東京都杉並区=が中皮腫を発症し、十二日、神戸西労働基準監督署に労災補償の申請をした。下請け会社からの派遣だった男性には、健康被害の危険性について何の通知もなく、支援団体は「短期間の作業で、健康被害に気づかない人がいるはずだ」と、元請け企業などによる周知徹底を求めている。

 男性は神戸市出身で、東京都内の大学に在学中だった一九六九年、夏休みに帰省し、同市兵庫区の川崎重工業兵庫工場で、下請け会社のアルバイトをした。断熱材として壁面に吹き付けられた石綿を平らにならすなど、吹き付け作業を手伝ったという。

 〇七年三月ごろ、肝臓の病気で入院中に胸膜中皮腫が判明した。同年八月に右肺を摘出し、現在は自宅で療養している。

 男性は、神戸でのアルバイト以外で石綿に触れる仕事をしたことがなく、石綿を扱う工場の周辺で暮らした経験もないという。〇八年二月、石綿健康被害救済法に基づく給付認定を受けた。

 男性を支援する中皮腫・じん肺・アスベストセンター(東京)は「石綿を扱っていた企業の中には下請け会社に作業をさせていたケースも多い。元請け側が、下請け業者の作業員にも発症の可能性があることを伝えるべきだ」としている。