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石綿被害、くまなく救済

2008-11-25 (火)

石綿被害すき間なく救済、改正法が12月1日施行

アスベスト(石綿)で健康被害を受けた人を救済する改正石綿健康被害救済法が12月1日に施行される。

従来の救済法は公明党が強力に推進し、2006年3月27日に施行。石綿を吸入したことが原因で特定疾患(中皮腫や肺がんなど)にかかりながら、労災の対象にならない患者やその遺族に対して、医療費や弔慰金などを支給することが柱となっていた。

しかし、同法の施行後に死亡した人については、本人が生前に被害者として認定を受けていなければ、遺族が弔慰金を受けられないなど、改善を求める声が多く寄せられていた。そこで改正法では、医・治療費の支給期間を従来の「認定申請日」から、「療養を開始した日」に拡大。また、医療費などの合計額が特別遺族弔慰金の額(同弔慰金と特別葬祭料で計約300万円)に満たない場合は、遺族に対して差額を救済給付調整金として支払うとしている。

これは公明党の強い主張で実現したもので、党アスベスト対策本部の江田康幸副本部長(衆院議員)によると、「支給対象期間を拡大しても、今後、給付金が300万円を下回る人もいる。公明党は公平性を保つために、調整金を主張した」という。また、制度発足後に未申請で死亡した人に対しても、請求可能期間を死後5年とし、特別遺族弔慰金などを支払い、制度発足前に死亡した人の遺族に対する弔慰金の請求期間も、2009年3月27日から2012年3月27日まで延長。さらに同法施行(2006年3月27日)の前日までに死亡した労働者の遺族のうち、労災保険法で遺族が補償を受けられる権利が5年間の時効で消滅した場合も、特別遺族給付金を支給(請求期限は2012年3月27日)することとした。

同時に改正法には、国は石綿を使用していた事業者の調査や結果の公表、新制度の周知徹底を図ることも盛り込まれている。  今回の法改正をめぐっては、与党と民主党がそれぞれ改正案を提出していた。しかし公明党は、深刻な石綿被害の救済を求める切実な声に対し、迅速な対応が求められていると主張。与野党の調整役として改正案の一本化に向けて尽力し、今年(2008年)6月11日の参院本会議で全会一致で可決・成立した。

江田氏は「従来は申請期間などで、いくつかの“すき間”があった。与野党の合意で、すき間のない救済が実現できることは意義深い」と述べる一方、3年後の見直しに向け、今後は指定疾病の拡大へ努力したいとしている。

(公明新聞:2008年11月25日より)